FPには『日本FP協会』と『きんざい(金融財政事情研究会)』の2つの団体が主催している試験があります。
どちらの試験を受けても同じ資格を取れますのでどちらを選んでもよいのですが、実は試験問題が異なり、難易度や合格率が全然異なります。
『難しかった。。あっちを選んでおけばよかった。』と後悔しないように事前に調べておきましょう。
今回は、日本FP協会ときんざいの試験について、下記の点を解説します。
- 日本FP協会ときんざいの違い
- 日本FP協会ときんざいの共通点
- 日本FP協会ときんざいの試験、どちらが簡単?
日本FP協会ときんざいの違いがよくわからない方、試験が簡単な方で受けたいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。
日本FP協会ときんざいの違い
日本FP協会ときんざい(金融財政事情研究会)の主な違いは、以下の4点です。
- 受験者数と合格率・難易度
- 実技試験問題
- 実技試験の問題形式と合格点
- 合格証書
受験者数と合格率・難易度
日本FP協会ときんざいでは、受験者数と合格率、難易度が異なります。
ここでは、日本FP協会ときんざいがどのように違うのか詳しく解説していきます。
受験者数
2019年9月から2020年9月に実施したFP3級とFP2級の受験者数は、以下の表の通りです。
時期 | 試験種別 | 日本FP協会 | きんざい |
---|---|---|---|
2021年5月 | 学科試験 | 26,799人 | 44,736人 |
実技試験 | 20,608人 | 30,634人 | |
2021年1月 | 学科試験 | 26,437人 | 50,865人 |
実技試験 | 22,474人 | 40,738人 | |
2020年9月 | 学科試験 | 25,117人 | 63,741人 |
実技試験 | 20,163人 | 56,739人 | |
2020年1月 | 学科試験 | 23,968人 | 40,110人 |
実技試験 | 18,980人 | 32,494人 | |
2019年9月 | 学科試験 | 20,935人 | 31,371人 |
実技試験 | 17,258人 | 25,866人 |
時期 | 試験種別 | 日本FP協会 | きんざい |
---|---|---|---|
2021年5月 | 学科試験 | 36,378人 | 23,248人 |
実技試験 | 36,691人 | 26,841人 | |
2021年1月 | 学科試験 | 31,272人 | 26,140人 |
実技試験 | 31,607人 | 33,608人 | |
2020年9月 | 学科試験 | 25,117人 | 35,659人 |
実技試験 | 20,163人 | 39,480人 | |
2020年1月 | 学科試験 | 23,968人 | 27,744人 |
実技試験 | 18,980人 | 31,147人 | |
2019年9月 | 学科試験 | 22,266人 | 27,677人 |
実技試験 | 20,332人 | 27,426人 |
過去の受験者数のデータを見ると、FP2級の受験者数は常にきんざいの方が多いです。
一方、FP3級は以前はきんざいでしたが、最近はFP3級の受験者数は日本FP協会の方が多いです。
きんざいの方が受験者数が多いのは、きんざいに金融機関や保険会社などから団体受験が申し込まれるためです。
きんざいは、会社から半強制で試験を受けさせられる方が多いのが特徴です。
合格率・難易度
一般的に、日本FP協会の方が合格率が高いです。
過去のFP3級と2級の合格率をまとめました。
時期 | 試験種別 | 日本FP協会 | きんざい |
---|---|---|---|
2021年5月 | 学科試験 | 55.61% | 33.82% |
実技試験 | 66.67% | 44.76% | |
2021年1月 | 学科試験 | 44.02% | 23.42% |
実技試験 | 57.37% | 71.01% | |
2020年9月 | 学科試験 | 49.19% | 33.10% |
実技試験 | 57.37% | 48.09% | |
2020年1月 | 学科試験 | 41.86% | 28.81% |
実技試験 | 62.61% | 38.45% | |
2019年9月 | 学科試験 | 49.19% | 20.97% |
実技試験 | 57.37% | 39.00% |
時期 | 試験種別 | 日本FP協会 | きんざい |
---|---|---|---|
2021年5月 | 学科試験 | 83.25% | 47.81% |
実技試験 | 76.65% | 53.16% | |
2021年1月 | 学科試験 | 87.92% | 63.75% |
実技試験 | 86.53% | 57.29% | |
2020年9月 | 学科試験 | 89.64% | 69.28% |
実技試験 | 88.04% | 47.08% | |
2020年1月 | 学科試験 | 85.34% | 65.43% |
実技試験 | 79.45% | 49.17% | |
2019年9月 | 学科試験 | 78.09% | 62.77% |
実技試験 | 79.48% | 44.38% |
実際に、FP2級と3級の学科と実技試験どちらの試験も日本FP協会の方が合格率が高いです。
ただし、きんざいは会社での団体受験の受験者が多いため、試験勉強をしない受験者も珍しくありません。
そのため、日本FP協会よりも数値が低くなっている可能性もあります。
実技試験の違い
日本FP協会ときんざいでは、実技試験の内容は異なります。
ここでは、FP2級と3級の試験問題がどのように違うのか解説していきます。
FP3級の実技試験の違い
FP3級の実技試験の主な違いは、以下の3点です。
- 日本FP協会は1種類、きんざいは2種類の科目から選択する
- きんざいの方が市販の問題と類似した問題が出題される
- それぞれ出題される問題の難易度が異なる
日本FP協会で出題される実技試験の問題は、「資産設計提案業務」の1種類です。
新聞やパンフレット、マネー雑誌などの内容から問題が出題される傾向にあるため、普段読む機会がない方にとっては難しく感じるかもしれません。
しかし、どれも学科の知識を基準とした問題が出題されるため、しっかり知識が定着していれば問題なく解くことができます。
一方で、きんざいは「個人資産相談業務」と「保険顧客資産相談業務」のどちらか一方を選択する必要があります。
市販の問題集や過去問と類似した問題が出題されやすいため、比較的試験対策を講じやすいのが特徴です。
FP2級の実技試験の違い
FP2級の実技試験の主な違いは、以下の2点です。
- 日本FP協会は1種類、きんざいは4種類から選択する
- 日本FP協会の方が出題数が多い
日本FP協会主催のFP2級試験で出題される科目は、FP3級と同じく「資産設計提案業務」の1種類だけです。
問題冊子は35~40ページ程度あり、きんざいより少し多めの問題が出題されます。
一方、きんざいの出題科目は「個人資産相談業務」、「生保顧客資産相談業務」、「損保顧客資産相談業務」、「中小事業主資産相談業務」の4種類から選択する必要があります。
問題冊子は15~20ページ程度と、日本FP協会より少なめです。
実技試験の問題数と合格点
日本FP協会ときんざいでは、実技試験の問題数と合格点が異なります。
日本FP協会 | きんざい | |
---|---|---|
問題数 | ・FP2級・・・40問 ・FP3級・・・20問 |
・FP2級・・・15問 ・FP3級・・・15問 |
合格基準 | 60点以上(100点満点) | 30点以上(50点満点) |
問題数はきんざいの方が少ないので、一問あたりの得点配分が大きく、間違えたときの影響が大きいです。
なお、どちらの団体も合格ラインは6割以上の正答になります。
6割以上というラインは宅建試験のような目安ではなく、合格ラインを超えると絶対に合格できるというものです。
周りの受験生のレベルを気にせず、自身が6割以上の正解を得ることに集中して合格を目指すようにしてください。
合格証書
受験した団体によって、発行者名や合格証のデザインが異なります。
そのため、同じ等級の合格証であっても、それぞれの団体が用意している合格証のデザインが異なるため、若干違う合格証のように感じるかもしれません。
日本FP協会ときんざいの共通点
日本FP協会ときんざいの共通点は、以下の4点です。
- 試験日
- 学科試験の問題
- 資格の価値
- FP1級・CFP資格の受験資格
試験日
日本FP協会ときんざいのどちらで申し込んでも、試験日は同じ日です。
毎年、1月・5月・9月の年3回実施しています。
そのため、どちらで受験しても受験日が変わることはありません。
学科試験の問題
日本FP協会ときんざいのどちらの団体も学科試験は共通の問題が出題されます。
学科試験の出題形式は下記の通りです。
- 問題形式・・・マークシート
- 出題数・・・全60問
- 解答形式・・・4択一答
- 試験時間・・・120分
受験する際の問題形式から内容・試験時間まで、どちらの団体も同じ条件となっています。
資格の価値
日本FP協会ときんざいのどちらで受験しても、取得した資格の価値は変わりありません。
どちらで取得した資格も同様に、国家資格のFP技能士としての価値があるので、心配する必要はありません。
また、FP1級とCFP資格の受験にFP2級の合格が必要となる場合がありますが、日本FP協会ときんざいのどちらのFP2級でも問題ありません。
日本FP協会・きんざいのの試験、どちらが簡単?おすすめの選び方
実際にどちらで受験するか決める際、悩む人は多いです。
そのため、ここでは両団体が、どのような人に適しているのか解説していきます。
受験を申し込む際の参考にしてみてください。
簡単なのは日本FP協会!合格優先の方におすすめ
FP資格に合格することを優先したい方は、日本FP協会がおすすめです。
例年きんざいよりも日本FP協会の方が合格率が高いうえ、きんざいよりも少し簡単な問題が出題されるためです。
特に主催団体にこだわりがなく、合格することをメインに受験したい方は、日本FP協会で受験するのが良いでしょう。
実務経験がある場合はきんざいがおすすめ
金融業界や保険業界での実務経験がある方はきんざいがおすすめです。
きんざいの実務試験では、特定分野に特化した4種類の科目が用意されています。
どの科目も内容が難しく、馴染みがない方にとっては、難易度が高めです。
一方で、各科目の実務経験がある方には、きんざいの方が簡単に感じる場合があります。
特に損保顧客資産相談業務や生保顧客資産は、保険関係に詳しい方にとっては有利になるでしょう。
4種類の科目の中で自身の得意分野があるのか、実務経験を有したことがあるのかを見極めてから受験を検討してみてください。
まとめ
- 学科試験は共通・実技試験のみ異なる
- どちらでも資格の価値は変わらない
- 日本FP協会の方が合格率が高い
- おすすめは日本FP協会だが、実務経験があればきんざいの方が有利
初めてFPを勉強する方にとっては、日本FP協会の方が簡単な問題が出て、取っつきやすいです。
まずは日本FP協会を選ぶのが間違えないでしょう。